「向いてない」と思ったら読む記事|看護師が自分らしく働くための思考法

「職場の雰囲気が終わっている」
「やらかさないか不安で仕方ない」
「先輩や上司が恐ろしい」
望んで取った看護師の免許。にもかかわらず、こんな気持ちで毎日を過ごす方も多くいるのではないでしょうか。
出勤する足が重くて、「看護師 向いてない」とググったり、今話題の〇〇GPTに愚痴をこぼす日もあるでしょう。
あなたに、まず最初にお伝えしたいことがあります。
あなたのせいじゃないかもしれません。

目次
「向いてない」と感じる瞬間、それは誰にでもある
日本看護協会の2024年の調査によると、新卒看護師の離職率は8.8%。
多くの看護師が同じような悩みを抱えています。
あなたが「向いてない」と感じる瞬間は、きっとこんな時ではないでしょうか。
- 先輩に怒られた時:「は?」「もういい」など言われて、情けなさを感じる
- 患者さんへのケアが機械的になっているとき:忙しくて余裕がなく、「これがやりたくて看護師になったんだっけ?」と迷子になる
- ミスをした時:インシデントを起こしてしまい落ち込む
- 人間関係が理不尽:気分屋やゴマすりなど、荒れ果てた人間関係に心が荒む
- リアリティギャップ:多重課題にも程がある上、雑務と責任で「これ必要?」という複雑な気分に
看護roo!のアンケートでも、86%の看護師が「向いてない」と思った経験があると回答。
つまり、あなたが感じているこの気持ちは、決して特別なものではないのです。
※看護roo! 「看護師、向いてないかも…」って落ち込んだことある?
「向いてない」と思う自分を責めなくていい理由
自分を責めなくていい理由を、心理学の視点から解説しました。

自分を責めなくていいというのは、ちゃんと根拠があります。
1. 「向いてない」と悩むあなたは、実は責任感が強い人
「向いてない」と悩むということは、それだけ患者さんのことを真剣に考え、自分の仕事に責任を持とうとしている証拠です。
心理学の観点から、このような悩みは 内省(self-reflection)と自己評価(self-assessment)から来るものと言われます。
自分の適性や行動を振り返って悩むことは、「内省」ができている状態です。内省力は心理学的にメタ認知(meta-cognition)の一部とされ、自分の思考や感情を客観視できる能力です。
これらは「できていない自分に気づく」という一定の自己評価能力の高さや他の人への配慮からくるもの。この自己評価能力が高すぎる場合は自己批判的になりやすいといわれます。
そうつまり、本当に向いていない人は、自分の行動を振り返ったり悩んだりしません。あなたはすでに「いい看護師になろう」と努力している、誠実で責任感のある人です。
2. 看護師=完璧である必要はない
看護師の仕事は患者さんの命がかかっている仕事だからこそ、「ミスしてはいけない」「完璧でなければ」と自分を追い詰めてしまうこともあると思います。
心理学で「全か無か思考(All-or-Nothing Thinking)」という考え方があります。これは「100点でなければ0点」のように極端に物事を捉えてしまう思考のクセです。
また、その前提に立ったうえでの日々の小さな関わり・配慮・学び直しの姿勢、つまりあなたがしてきた努力の積み重ねすべてが安全につながっています。
完璧な看護師ではなく、「成長し続ける看護師」であれば十分なのです。
3. 「今の環境」が合っていないだけかもしれない
看護師の離職率は地域によって差があり、東京や神奈川では14.6%と高い傾向があります。
これは、環境や働き方によって、看護師の満足度が大きく変わることを示しています。
「自分は向いてない」と感じる背景には、今の職場の人間関係や指導スタイル、勤務体制が自分に合っていないというだけのことも多いです。
心理学では「自己効力感(self-efficacy)」という言葉がありますが、これは「自分はできる」という感覚のこと。
実はこの感覚は、周囲のサポートや成功体験によって育まれるものでもあります。
つまり、「看護師に向いていない」のではなく、「今の環境で自己効力感が育ちにくいだけ」かもしれません。
自分らしく働くための3つの視点
1. 自分を知る:あなたの価値観と強みを見つける
自分の価値観を知るには自分に質問してみることからスタートしましょう。
まずは、以下の質問に回答してみましょう。
脳内で完結させず、書き出すほうが客観視できておすすめです!
価値観を知る質問
- どんなときに喜びを感じますか?
- つらいと感じるのはどんなときですか?
- 患者さんや同僚のどんな反応が一番嬉しいですか?
自分の「強み」を知る質問
- 学校の先生・同僚・患者さんに褒められたことは何ですか?
- 自然にできてしまうことはありますか?
- 人から頼られるのはどんなときですか?
2. 環境を知る:どんな働き方が合うのか考える
看護師の職場は病棟だけでなく、介護施設・教育領域・企業など多岐にわたります。
まずは知るところからスタートしましょう!
環境の選択肢
- 病棟看護師:急性期、回復期、療養型など
- 外来看護師:専門外来、クリニック
- 訪問看護師:訪問看護ステーション、地域密着クリニックの往診
- 企業看護師:産業保健、従業員の健康管理
- 保育園看護師:子どもの健康管理
- 教育分野:看護学校の臨時教員、実習専任担当
3. 小さく試す:一歩ずつ行動してみる
興味のある領域があれば、それについてもう少し調べたり、すぐにできそうなことをリストアップしていきましょう。
その中で、目標に近づくためにすぐにできそうなことから試してみましょう!
- 異動希望を出してみる
- 研修や勉強会に参加してみる
- 転職サイトに登録して情報収集する
- コミュニティに参加して他の分野で働く看護師の話を聞いてみる
転職サイト(エージェント)や副業スクールは「どう活用するか」が重要です。
受け身ですべてを委ねてしまうと、出された選択肢だけを鵜呑みにして振り回されてしまうことに繋がります。
・自分自身がどうなりたいか
・そのために不足している(身につけるべき)スキルはなにか
の軸を作ってから転職サイトやスクールに問い合わせをすることがおすすめです。

大事なのは「自分軸」です!!
次の一歩を踏み出すために
「向いてない」と感じているあなたに、最後にお伝えしたいことがあります。
あなたが感じている苦しみは、あなただけのものではありません。
筆者自身も、病棟での仕事に疲れ果て看護師になった理由がわからなくなったり、「自分はなにもできない」と悲観的になりすぎる時期がありました。
今振り返れば、あの時の苦しみはひとつのきっかけ。合わないものに出会った、つまり合う選択肢は別にあるというのを知れたのです。
「向いていない」と思ったときにするべきなのは自分を責めることではなく、自分を理解すること。
まずは一度整理してみませんか?
時間を巻き戻しどころか、辛い時間を先送りできないかと考えていたのは私です。