「専門学校卒だからキャリアに限界を感じる」「大学院を目指したいけど大卒じゃない」
などという気持ちがある方へ。
通信制大学を活用すれば、看護師として働きながら自分で「学士(看護学)」は取れます。
これは 独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(NIAD-QE)の制度です。
筆者自身が取得しており、体験談をもとに全ステップを解説します。
- 看護学士とは何か
- なぜ今重要なのか
- 取得の5つのメリットと3つの注意点
- 申請から取得までの具体的な5ステップ
- 働きながら続けるための現実的なコツ
看護学士とは? 大卒と法的に同等の学位

看護学士(正式には「学士(看護学)」)は、4年制大学の学士号と法的に同等の学位です。
履歴書にも「20XX年 学士(看護学)取得 大学改革支援・学位授与機構」と明記でき、大卒相当の証明になります。
この学位を大学以外で授与できるのは、文部科学省所管の学位授与機構のみです。
仕組みはシンプルで、
専門学校・短大で修得した単位 + 放送大学などで追加修得した単位 + 学修成果レポートと試験に合格
で、学士号が授与されます。すでに看護学校や短期大学で積み上げてきたものが、ちゃんと評価されます。
医療の高度化・複雑化に伴い、看護師にも論理的思考力・研究能力がより強く求められるようになりました。
国も看護師養成の4年制大学化を推進しており、看護学士の取得は個人のキャリアアップにとどまらず、時代の要請に応えるスタンダードになりつつあります。
取得の5つのメリット
1:キャリアが広がる
専門看護師は大学院修了(修士号)が必須で、学士号はその第一歩。
実際は必ずしも大学卒業が求められる大学院ばかりではありませんが、「根拠のある、まとまった論理的な文章を書いた経験」は圧倒的に専門学校よりも大学でできる経験です。
管理職への昇進・大学院進学・教育研究職など、選択肢が一気に増えます。
海外ではビザ取得の要件にもなる場合があります。
2:給与・生涯年収が上がる可能性
日本看護協会の調査では、大卒新卒の初任給は専門卒より月額約8,000円高いといわれます(※)。
勤続年数が延びるほど差は開き、昇進・資格手当が加わると生涯では数百万円規模になる可能性もあります。
※日本看護協会:2024年度 「看護職員の賃金に関する実態調査」
3:看護の質が上がる
日々の臨床知識と学術的視点がつながります。
筆者は在学当時たまたま福祉(介護)系企業勤務だったという理由で、地域福祉や地域包括ケアの科目も履修しました。
そこで福祉=介護という曖昧で雑多な区分けではなく、高齢者・障害・生活保護・児童・更生などを含む広い領域であることを初めて学ぶことになりました。
「なぜそうするのか」はもちろんのこと「今起こっていることがどのようなことと接続しているのか」を言語化できる看護師は、論理的な議論の中核になることができます。
4:転職で強い希少価値になる
この方法で学士を取得する看護師は年間約2,500人。
看護師国家試験の合格者数が年6万人超であることを考えると、かなり希少です。
今この記事を読んでくださっているあなたは「看護学士取りなさいッ!!!」と誰かに言われて探していますか?
おそらくそうではなく、ご自身で学士を取ることに興味がある方が多いと思います。
ご自身の意志と力で学士を取るという学習意欲と自己研鑽の姿勢、そして実際やり切った力は、面接でも訴求できます。
5:「やればできる」という自信がつく
そんなことかい!というものかもしれませんが、結構重要です。
言わずもがなですが、働きながらレポートを書き、試験を乗り越えた経験は、思いのほか大きな自信になります。

筆者も看護学士を取得した一番の収穫は「自信」です。
意外とこの自信は無視できず、ステップアップへのフットワークが軽くなっているといえます。
知っておくべき3つの注意点
メリットのみならず、現実的な話も書いておきましょう。
費用がかかる
学位審査手数料32,000円+単位修得費用(放送大学・通信大学利用で総額20〜40万円程度)が目安です。
当然ですが勉強しているその瞬間は働けないので、もし兼業している方であればその分の収入が減る可能性はあります。



筆者は兼業しながら大学卒業しました。
本当に大変なのでおすすめしないです。
時間と労力がかかる
看護学士だけ取得するために科目履修する場合でも1年。大学編入→卒業のルートを取ると最短でも2年程度はかかります。
大学を卒業するって結構地味な日常です。「華の大学生♡」のテンションを2年は続けられません。
そして学修成果レポートが最大の難関。
筆者は初稿の執筆開始から初稿完成までは2週間。提出まで1ヶ月程度。
掛かる人だと数ヶ月かけるひともいます。
筆者は早い方ではありましたが、加筆修正や論旨のまとめにはある程度時間を使っています。これは「ほぼ執念で取得した」と言っても過言ではありません。
すぐに給与や評価に直結しない場合もある
職場によっては、学士を取りました→昇給とはならないケースも。
特に臨床現場では実践能力が優先される傾向があります。長期視点で投資と考えるのが現実的です。
申請から取得まで|5つのステップ


短大・専門学校卒業、または大学に2年以上在学し62単位以上修得して中退した方が対象です。
修得済み単位と必要単位を照らし合わせ、何が不足しているかを確認します。
専門学校は専門学校と一口に言ってもパターンが分かれ、修業年限と履修時間によって大学に在学する必要がある期間や単位数が変わります。
単位計算は非常に細かく規定されているため、放送大学や通信大学の相談窓口を必ず活用してください。
放送大学(学費が安く自由度が高い)や、人間総合科学大学・武蔵野大学など看護学士取得サポートが手厚い通信大学を活用するのが一般的です。
放送大学には「学士(看護学)の取得を目指す方へ」のリーフレットもあり、履修すべき科目がわかりやすくまとめられています。


看護学に関するテーマで10〜17ページ程度の論文を作成します。
知識の羅列ではなく「看護学的な見地からの考察」が求められます。
専門卒の場合、あまりしっかりした文章を書くのに慣れていない場合があります。まず論理的な文章とは何か?という点で以下の本は参考になりました。看護研究の本も良いです。
テーマは早めに決め、コツコツ文献収集を進めるのが鉄則です。試験はこのレポート内容に関する小論文形式で行われます。
筆者はこの本を参考にしました。
申請は年2回(4月・10月)。電子申請システムで登録後、必要書類を郵送します。
注意点は、単位の振り分け作業が意外と時間がかかること。
後回しにすると申請期限に間に合わないので、早めに着手してください。



単位の振り分けをしないとレポートが提出できません。
しかもこの単位の振り分け、思っている以上に時間がかかります!
「この科目ってこれでいいのかな〜?」というのは自己責任で行う必要があり、神経も使います。
(ちなみに筆者は2時間くらい掛かった)
早めに取り掛かりましょう!
5. 働きながら続けるための現実的なコツ
無理のない履修計画を立てる
「夜勤前の2時間」「図書館でだけやる」など、自分が実際に確保できる時間を洗い出してから、その範囲で履修できる科目を選びましょう。
気合いで詰め込んだ計画はほぼ崩壊します。(経験済み)


モチベーションを外に逃がさない
SNSで同じ目標の仲間と繋がったり、目標を宣言したりするのが有効です。
筆者は放送大学時代はSNSで仲間を見つけてモチベーションをキープしました。
テーマは早めに決める
学修成果レポートはテーマ選びがほぼ勝負です。
学習を進めながら、「これなら書けそう」というテーマを早い段階で意識しておきましょう。
コツは「自分の経験や興味に合うものを選ぶこと」!
独学の場合指導者がいないためにテーマ選定・レポートの書き方・単位計画の立て方・申請のつまずきポイントなどがわからず、困りますよね。
筆者の経験を全部詰め込んだnoteを書きました!これには独学勢に贈る学修成果レポートのテーマ選びから試験対策まで、独学で合格した経験をもとにした具体的に解説が詰まっています。
迷ったら「新しい学士への途」を開く
答えのほとんどは学位授与機構が公開している「新しい学士への途」に書いてあります。
一人で抱え込む前に、まずここを確認してください。
まとめ
学位授与機構を活用した看護学士の取得は、決して楽な道ではありません。
でも、コツさえ押さえてコツコツ進めれば、誰でも取れます。
取得後の筆者は、勉強が楽しくなりすぎて海外の大学院進学まで検討するくらいになっています。
フットワークが軽くなる感覚は、想像以上です。









