看護師が企業転職してリアルに変わったこと【後悔した点も】

目次
「お客様のために」が会社を潰した話
看護師から企業に転職して、最初に気づいたことがあります。
これは比喩ではなく、実際に経験した話です。

会社の倒産は2021年の夏。コロナ禍の真っ只中。
私が在籍していた会社では、チーム全体が「とにかくお客様の満足を最優先」という文化でした。対応の質にはこだわり、寄り添い満点。
お客様からの評判も悪くなかった。
でも気づいたときには、会社の収益が追いついていませんでした。
病院では「患者さんのために動く」は正解です。
でも企業では「顧客に価値を提供しながら、会社としての利益も生み出す」がセットで求められます。善意だけでは会社は回らない。これが企業転職で最初に突きつけられた現実でした。
看護師マインドと企業マインド、何が根本的に違うのか
看護師は「問題解決型思考の強い生き物」だと思っています。
目の前の状況をアセスメントして、計画を立てて、実行して、評価する。PDCAを骨の髄まで知り尽くしています。
この思考力は、企業でも間違いなく活きます。
ただし企業では、ときにはこだわりを手放すことも必要です。
能動的に「会社の利益を作る」「顧客に価値を提供する」を考えて動かないと、人材としての存在感がどんどん薄くなっていきます。
問題解決の思考力はそのまま武器になる。
でも「指示を待つ」「完璧なケアを目指す」という習慣は、一度意識的に手放す必要があります。
臨床を離れた理由と、たどり着いた場所
私が臨床を離れたきっかけはシンプルで、「引っ越し」と「予防に関わりたい」という気持ちでした。
病棟で退院支援に関わるたびに気になっていたのが、再入院を繰り返す患者さんの存在です。「入院になるほど悪化する前に、何か関われないものか」という思いが膨らんで、引っ越しを機に思い切って臨床を離れました。
転職した先では、1000人以上のお客様の支援に携わりました。
1人のお客様に直接向き合う喜びを感じながら、同時に「仕組みを作れば1人の力がN倍になる」という感覚を掴んだのもこの時期です。
カスタマーサクセスという選択肢
「看護師が企業転職するなら、どんな仕事があるの?」と思う方も多いと思います。
私がたどり着いたのはカスタマーサクセスという職種でしたが、別にこれがいい!と思って選んだわけではありません。
そのときの転職の軸は3つでした。
- 対人で関われるサポート職
- 仕組みづくりができる
- パソコンを使う仕事
この3つを満たせる仕事として、たまたま相性がよかったです。
顧客の課題解決に向けて伴走しながら、チームで仕組みを作っていく。
看護師として身につけた問題解決型の思考が、そのまま活きる場所でした。
CSはあくまで一例ですが、「病院以外でもサポート職がしたい」「リモートで働きたい」という看護師にとっては、知っておいて損のない選択肢だと思っています。
企業転職して変わったこと
① 夜勤がなくなり、生活が変わった
これは単純にうれしい変化です。
睡眠が安定し、週末に疲れ果てていることがなくなりました。
「普通の生活」がこんなに楽だったのかと、少し拍子抜けします。
② リモートワークができる
「看護師ってリモートワークできないよね」と思われがちですが、企業転職するとこれが変わります。
職種や会社にもよりますが、週3〜5日在宅という働き方も珍しくありません。
通勤ゼロの日は、想像以上に消耗が減ります。
③ 最初は給料が下がった
転職直後は給料が下がるケースが多いです。
忘れられない、週5日8時間のフルタイムで働いているのに、夫の配偶者控除が適用になった入社年。どんだけ安かったんだ・・・
看護師の夜勤手当や各種手当は、実はかなりの金額になっていることが多く、企業転職するとその分が消えます。
特にスタートアップ・雇用形態が業務委託などだとパソコンが自分持ち、自宅のインターネットは自己負担もしくは自宅回線を利用する場合も。
ただし、経験を積めばキャリアアップの幅は広がります。最初の1〜2年は「投資期間」と割り切れるかどうかが分岐点です。
④ 「現場を捨てるの?」と言われた
結構言われました。
転職後しばらくは、社内外、特に社外の人ほど「なんでここに?」と聞かれます。
最初は戸惑いましたが、これは裏を返せば「珍しい経歴=差別化になる」ということでもあります。
医療の知識を持つ人材は、医療系サービスの企業では特に重宝されます。
⑤ ビジネス用語を一から覚えた
KPI、ROI、MRR、チャーンレート……。
会議についていけません。最初は呪文のように聞こえました。
当時のCOOに、
「みなさんが何を仰っているかまだわからないときがあります」
と言ったこともあるくらいわからないことばっかり。
でもこれは、看護師時代にバイタルの略語を覚えたように、地道に一つずつ覚えていくしかありません。ただ、慣れてしまえばどうということはないです。
⑥ 仕組みづくりの面白さに気づいた
1人で100人のお客様を支援するより、チームで仕組みを作って1000人を支援するほうが、結果的に多くの人の役に立てます。
この感覚は、企業転職してから一番大きな気づきでした。看護師時代に感じていた「退院してもまた戻ってくる」という限界を、仕組みという視点で突破できる手応えがあります。
向いている人・正直向いていない人
自らが転職して、行った先で採用担当も経て、今振り返るとこんな感じでしょうか。

向いている人
- 「なぜこうするのか」を自分で考えて動ける人
- 数字や成果に対して素直に興味を持てる人
- 学び直しを楽しめる人
- 「貢献したい」の対象を患者さんから顧客・社会に広げられる人
向いていない人
- 指示がないと動けない・動き方がわからない人
- 数字や成果に興味が持てない人(「売上より患者さん」が揺るがない人)
- リスクをとらず、安定した指示系統の中で動きたい人
向いていない人をネガティブに書きたいわけではありません。病院という環境でその特性が活きる場面はたくさんあります。
ただ、企業転職は「環境を変える」だけでなく「動き方を変える」必要があるということは、正直にお伝えしたいです。
まとめ
看護師として身につけた問題解決の思考力は、企業でも確実に武器になります。
ただし、「指示を待つ」「患者さんのためだけに動く」という習慣は、一度手放す必要があります。
臨床を離れることに不安を感じる方も多いと思います。でも「やれることとできることが活きる場所」は、病院の外にも確実にあります。
まず「どんな求人があるか」を眺めてみることが、最初の一歩としてはいちばん低コストです。求人を眺めるだけでも、自分が何に興味を持てるかが見えてきます。
