放送大学→看護学士を学位授与機構で取得!メリット・費用・最短ルートを徹底解説【完全ガイド】

「専門学校卒だから、キャリアアップに限界を感じる…」
「大学院進学や専門看護師に興味があるけど、大卒資格がない…」
多忙な毎日を送る看護師さんの中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、大学に通い直さなくても、働きながら大学卒業と同等の資格「学士(看護学)」を取得する方法があります。その鍵となるのが、独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(NIAD-QE)の制度です。
この記事では、看護師のキャリアを大きく飛躍させる「看護学士」について、以下の点を徹底的に解説します。
看護学士とは? なぜ今、重要性が高まっているのか
取得するメリットと、知っておきたいデメリット
学位授与機構での申請から取得までの具体的な5ステップ
放送大学や通信制大学を活用した、働きながら学ぶコツ
- 看護学士とは?と気になっている看護師の方
- 放送大学で看護学士とれるかな?と気になっている方
- キャリアアップそのものに関心のある看護師の方
目次
1. 看護学士とは?大学卒業と同じ価値を持つ学位
まず、看護学士とは何か?
看護学士は正確には学士(看護学)と表記します。
看護学の分野における学士の学位を指し、4年制大学を卒業して得られる学士号と法的に同等のものです。
つまり、この学位を取得すれば、履歴書にも「学士(看護学)取得」と記載でき、大卒相当を証明するものとなります。
この学位を大学以外で唯一授与できるのが、文部科学省所管の独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構です。
この制度は、短期大学や専門学校を卒業した看護師が、これまでの学習成果に加えて、放送大学や通信制大学などで必要な単位を追加で修得し、レポートと試験に合格することで、「大学卒業と同等の学力がある」と認められ、学士号が授与される仕組みです。
なぜ今、看護学士の重要性が高まっているのか?
近年、医療はますます高度化・複雑化しています。それに伴い、看護師にも単なる技術だけでなく、論理的・批判的思考力や研究能力といった、より高度な専門性が求められるようになりました。
日本看護協会も、これからの看護師には「学問」としての看護学の視点が不可欠であると強調しており、国も看護師養成の4年制大学化を推進しています。
つまり、看護学士の取得は、もはや個人のキャリアアップのためだけでなく、時代の要請に応えるためのスタンダードになりつつあるのです。
2. 看護学士を取得する5つの大きなメリット
では、具体的に看護学士のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、キャリアや給与、自己成長に繋がる5つの大きな利点をご紹介します。
メリット1:キャリアパスが格段に広がる
学士号は、あなたのキャリアの選択肢を大きく広げる「パスポート」になります。
管理職への道:看護師長や看護部長への昇進の際に、学士号が有利に働くことがあります。
専門・認定看護師:特に専門看護師は大学院修了(修士号)が必須であり、学士号はそのための第一歩です。
大学院進学:研究者や大学教員など、教育・研究分野へのキャリアチェンジを目指せます。
海外進出への一助に:学士は英語でBachelorといわれ、国によってはビザの取得に有利に働く場合があります。
メリット2:給与・生涯年収アップの可能性
日本看護協会の調査によると、新卒看護師の初任給において、大卒は専門学校卒に比べて月額約8,000円高いというデータがあります。これは年間で約9.6万円、勤続年数が長くなるほどその差は開いていきます。
※日本看護協会:2024年度 「看護職員の賃金に関する実態調査」
昇進や資格手当(専門・認定看護師など)が加われば、生涯年収では数百万円以上の差が生まれる可能性も十分にあります。
メリット3:専門知識が深まり、看護の質が向上する
学士を取るまでには大学での科目履修が必須です。
日々の業務で得た知識を紐づけることのできる学術的な視点や研究を体系的に学ぶことができます。これは、物事を多角的に捉え、根拠に基づいた質の高い看護を実践する力に繋がります。
大学によっては看護学以外の科目履修も可能な場合があります。
(筆者は地域福祉や地域包括ケアシステムについての科目を履修しました)
学びを通して自ら課題を発見したり、それを解決するための道筋を論理的に考える力は、看護師としての価値のみならず知識人としての価値を格段に高めることができます。
メリット4:転職で有利になる「希少価値」
学位授与機構を通じて「学士(看護学)」を取得する看護師は、年間約2,500人程度と言われています。看護師国家試験の合格者数が年間6万人程度誕生することを考えると、希少性は高いと言えます。
転職活動の際には、その学習意欲と自己研鑽の姿勢が強力なアピールポイントとなり、希望する職場や条件の良い求人への道が拓ける可能性があります。
メリット5:自分に自信がつく
働きながら学び、レポートを書き上げ、試験を乗り越えて学位を取得するという経験は、「やればできる」という大きな自信に繋がります。
この自信は、これから出会うであろう困難に立ち向かう上での精神的な支えとなります。

3. デメリットは?知っておくべき3つの注意点
多くのメリットがある一方、学位取得には相応の覚悟も必要です。
挑戦する前に、現実的な課題(デメリット)も理解しておきましょう。
費用がかかる
学位審査手数料:32,000円(学位授与機構への申請料)
単位修得費用:不足単位を修得するための大学の学費。履修する単位数によりますが、放送大学や通信制大学を利用しても、総額で20万〜40万円程度が目安となります。
時間と労力がかかる
働きながら学習時間を確保するのは、想像以上に大変です。短く見積もっても1年半程度はかかることから、モチベーションを維持し続ける強い意志が求められます。特に、学位取得の鍵となる「学修成果レポート」の作成は、数ヶ月単位で取り組む必要があり、最大の難関と言えます。すぐに給与や評価に直結しない場合もある
学士号は法的に大卒と同等ですが、職場によっては、すぐに給与改定や昇進に繋がるとは限りません。特に臨床現場では、学歴よりも実践能力や経験が重視される傾向も依然としてあります。

私自身、ほぼ執念で取得したと言っても過言ではありません。
4. 【完全ガイド】学位授与機構で看護学士を取得する5つのステップ
ここからは、実際に学位を取得するまでの具体的な流れを5つのステップで解説します。
Step 1:基礎資格と必要単位を確認する
まず、ご自身が申請のスタートラインに立っているか(=基礎資格があるか)を確認します。
主な基礎資格
短期大学(看護科など)を卒業した
専門学校(3年制看護課程など)を修了した
大学に2年以上在学し、62単位以上を修得して中退した
次に、これらの基礎資格で修得した単位を確認し、学位授与機構が定める基準に照らして、追加で何単位が必要かを計算します。多くの場合、放送大学や通信制大学の「科目等履修生」として不足単位を修得することになります。
【重要】単位計算は慎重に!
必要な単位は「専門科目」「関連科目」「外国語」など、非常に細かく規定されています。計算を間違うと申請が受理されません。放送大学や各通信制大学には、学位取得希望者向けの相談窓口やサポートプログラムがあるので、必ず事前に確認しましょう。
Step 2:不足単位を修得する(放送大学・通信大学の活用)
不足単位は、働きながら学べる放送大学や通信制大学で修得するのが一般的です。
放送大学(看護学士):学費が安く、自由度が高いです。編入学をすれば大卒も目指せます。
学士(看護学)の取得を目指す方へというリーフレットも配布されており、履修するべき単位がわかりやすいです。
私立の通信制大学:人間総合科学大学や武蔵野大学など、看護学士取得のサポートが手厚い大学もあります。レポート指導や学習計画の相談など、独自のサポートプログラムが魅力です。
自分の学習スタイルや予算に合った大学を選び、計画的に履修を進めましょう。

筆者の放送大学レポは下記で語っています。
Step 3:学修成果レポートを作成し、試験に備える
単位修得と並行して、申請の核となる「学修成果レポート」を作成します。
これは、自身で設定した看護学に関するテーマについて、文献などを基に考察を深め、10〜17ページ程度にまとめる論文です。単なる知識の要約ではなく、あなた自身の看護観や考察を論理的に示すことが求められます。
また、医療知識の羅列ではなく「看護学的な見地」が重要です!
テーマの例:「中堅看護師の学びを継続する重要性」「〇〇領域における看護の質の向上」など
ポイント:早めにテーマを決め、コツコツと文献収集や構成を練ることが合格の鍵です。
試験は、このレポート内容に関する小論文形式で行われます。自分のレポートを隅々まで理解し、論点を整理しておくことが最大の対策です。
Step 4:学位授与を申請する
必要な単位をすべて修得し、レポートが完成したら、いよいよ申請です。
申請時期:年2回(4月・10月)
申請方法:電子申請システムで登録後、必要書類を郵送します。
書類に不備がないよう、申請案内を熟読し、余裕を持って準備しましょう。

単位の振り分けをしないとレポートが提出できません。
しかもこの単位の振り分け、思っている以上に時間がかかります!早めに取り掛かりましょう!
Step 5:試験を受け、合否を待つ
申請が受理されると、試験(4月申請者は6月、10月申請者は12月)が行われます。
試験会場は東京会場と大阪会場の2つ。例年、学位授与機構の本部(東京都小平市)と大阪私学会館(大阪市都島区)で行われています。
試験に合格し、単位審査も通過すれば、晴れて「合格」です。
合格の場合はなんの予告もなく学位記が届き、不合格の場合は通知が届きます。
5. 働きながら看護学士を目指す!成功のための3つのコツ
仕事と学習の両立は思っているよりハードですが、コツを押さえれば誰でもできます!
ここでは筆者が意識した目標を達成するための4つのコツをご紹介します。
自分の時間管理に見合った履修計画
「夜勤入り前の2時間」「図書館でやる」など、決まった時間をやりくりする工夫が必要です。自分がいつなら学習に充てられるか、一度スケジュールを洗い出してみましょう。気合を入れてあまり無茶な計画を立ててもほぼ上手くいきません。そのスケジュールの中で履修できる科目を選択し、コツコツと学習を進めていきます。モチベーションを維持する
SNSで同じ目標を持つ仲間と繋がったり、職場の同僚や家族に目標を宣言して応援してもらったりすることも、大きな力になります。私は大学時代はSNSで仲間を見つけて、モチベーションをキープしました。学修成果執筆になるとロールモデルがおらずかなり苦戦しました。このように情報を書いているブログ主をフォローしたり、自らどんどん発信していくのも良い方法です。テーマは早めに決めておく
学修成果はテーマでほぼ決まると言っても過言ではありません。自分が書けそうなテーマを学習の中で見つけておきましょう。- 悩んだら「新しい学士への途」を見る
答えはほぼ「新しい学士への途」に書いてあります。学位授与機構で学士を取得する人のほとんどが看護学です。そのため、「新しい学士への途」には看護学を例に取り上げる記載が数多くあります。悩んだら一人で抱え込まず、まずは新しい学士への途を開いてみましょう。
もし指導教員、学士申請サポートが利用できる場合は積極的に利用しましょう。的確なアドバイスが、レポート作成や単位修得の大きな助けとなります。
まとめ:看護学士は、あなたの未来を拓く価値ある自己投資
学位授与機構を利用した「看護学士」の取得は、時間も費用もかかる、決して簡単な道ではありません。
ただ、コツをおさえてコツコツ進めれば必ず取得できます!
キャリアに対してフッカルになるメリットは意外と無視できず、勉強好きになってしまいあらゆる勉強に手を出し海外の大学院進学まで考えているのが筆者です。
この記事が、あなたの新たな挑戦への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
筆者も看護学士を取得した一番の収穫は「自信」です。
意外とこの自信は無視できず、ステップアップへのフットワークが軽くなっているといえます。