資格を取る=稼げると思っていませんか?
結論から言うと、資格は「なりたい働き方から逆算して選ぶ」ほうが失敗しません。
夜勤がきつい
このままでいいのかな
と思ったとき、キャリアアップ!と資格を調べる気持ち、よくわかります。
でも目的なしに資格を取るのは、時間とお金が勿体ないです!
資格は働き方のきっかけや一部に過ぎません。
この記事では、看護師からスタートアップ企業に転職し、採用担当も経験した筆者が、目的別に本当に役立つ資格を12個にしぼって紹介します。
- 目的別(専門性/働き方/企業転職)のおすすめ資格12選
- 取る前に確認したい受験資格の目安
- 学費の負担を軽くする教育訓練給付金の使い方
資格を選ぶ前に「何を変えたいか」を決めよう
看護師がキャリアで悩むとき、変えたいものはだいたい次の3つのどれかです。
- 看護の専門性をもっと深めたい
- 夜勤や不規則な勤務から離れて、働き方を変えたい
- 病院の外、企業で働いてみたい
どれを選ぶかで、取るべき資格はまったく変わります。目次から、自分に近いところだけ読んでもらえれば大丈夫です。

筆者は「企業で働いてみたい」タイプでした。
採用する側も経験して感じたのは、資格そのものより「なぜその資格を取ったのか」を語れる人のほうが、ずっと印象に残るということです。
〇〇取りました=採用、にはならないです。
①看護の専門性を深めたい人向けの資格5選
今の仕事にやりがいはある。でも「もう一段上に行きたい」という人向けです。
どれも年単位の挑戦になるので、勢いではなく覚悟で選ぶのがおすすめです。
1. 認定看護師・専門看護師
看護師なら全員知っている認定看護師・専門看護師。
緩和ケア、感染管理、がん看護など、特定の分野のスペシャリストとして日本看護協会が認定する資格です。
認定看護師は、実務経験を積んだうえで教育機関の課程を修了し、認定審査に合格するのが基本ルート。専門看護師は、大学院(修士課程)の修了が必要です。
こんな人におすすめ:臨床で極めたい分野がはっきりしている人
2. 診療看護師(NP)
医師の指示のもとで、一部の診療行為まで担える高度な看護職です。大学院のNP教育課程を修了し、日本NP教育大学院協議会の認定試験に合格する必要があります。
こんな人におすすめ:医師に近い立場で、治療にもっと深く関わりたい人
3. 助産師
妊娠から出産、産後まで母子に寄り添う国家資格です。大学や専攻科、専門学校などの養成課程で学んだあと、国家試験に合格して取得します。
少子化に伴い枠は狭め。にも関わらずお産を規定回数取らないと卒業できないので、養成過程は過酷です。
こんな人におすすめ:周産期に強い関心があり、将来は開業も視野に入れたい人
4. ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護が必要な人と介護サービスをつなぐ専門職です。看護師として原則5年以上かつ900日以上の実務経験があれば、都道府県が実施する試験を受けられます。
病院から在宅へという流れが進むなか、看護の視点を持つケアマネは重宝されます。通信講座で対策できるので、働きながらでも挑戦しやすい資格です。
こんな人におすすめ:訪問看護や地域包括ケアに興味があり、退院後の生活まで支えたい人
5. 学会・団体の認定資格(呼吸療法認定士・透析技術認定士など)
大学院や養成校に通わなくても、今の職場で働きながら取れる専門資格もあります。それが、学会や団体が認定する資格です。看護師が受けやすい代表的なものはこちらです。
- 3学会合同呼吸療法認定士:実務経験2年以上の看護師などが対象
- 透析技術認定士:実務経験2年以上の看護師などが対象
- 日本糖尿病療養指導士:糖尿病の療養指導に2年以上関わった看護師などが対象
- 認知症ケア専門士:認知症ケアの実務経験がある看護師や介護職などが対象
今いる病棟の専門性をそのまま形にできるのが強みです。①のほかの資格に比べると、費用も時間もぐっと軽めなので「まず一つ専門資格を」という人の最初の一歩にちょうどいいです。
ただし、どれも過去問が公式に公開されていないのがネック。対策には、受験者の情報をもとに作られた再現過去問集やeラーニングが役立ちます。
こんな人におすすめ:今の病棟の専門性を形にしたい人、費用を抑えて専門資格に挑戦したい人



このカテゴリーは特に養成過程が厳しいかつ取得までの費用が高額の資格が中心です。
取ったあとに何をしたいかまで描いてから始めると、途中で心が折れにくくなりますよ。
②働き方を変えたい人向けの資格3選
「夜勤から離れたい」「土日に休みたい」という人向けです。看護師免許にプラスすることで、日勤中心の職場に移りやすくなります。
6. 保健師
自治体や企業で、人々の健康づくりや病気の予防を担う国家資格です。養成課程で学んだあと、国家試験に合格して取得します。
行政保健師なら公務員として、産業保健師なら企業の社員として、日勤中心で働けるのが大きな魅力です。
が、そもそも保健師養成過程は学校の絶対数が少なく、それ自体が狭き門。
かつ資格を取っても非常に募集枠が少なく、多くは経験者の募集。未経験での転職には作戦が必要です!
こんな人におすすめ:治療より予防に関心がある人、安定した環境で長く働きたい人
7. 産業カウンセラー
働く人のメンタルヘルスを支える、日本産業カウンセラー協会の資格です。協会の養成講座を修了すると受験できます。
企業の健康管理室で働く産業看護師を目指すなら、メンタル面の知識は強い武器になります。
こんな人におすすめ:人の話を聴くのが得意で、組織で働く人を支えたい人
8. 福祉住環境コーディネーター
高齢者や障がいのある人が暮らしやすい住まいを提案する、東京商工会議所の検定です。受験資格はなく、2級・3級はネット試験で受けられます。
訪問看護で「この段差、危ないな」と気づける看護師は多いはず。その気づきを、根拠を持って提案できるようになるイメージです。
こんな人におすすめ:在宅医療に関心があり、生活環境まで含めたケアをしたい人



正直なところ、働き方を変えるだけなら資格がなくても転職はできます。
ただ資格があると、面接で「なぜこの職場を選んだのか」を説明しやすくなるのは確かです。
③企業で働きたい人向けの資格3選
看護師から企業に転職して、採用する側も経験してわかったのは、企業は医療知識より先に「パソコンで普通に仕事ができるか」を見ているということでした。
というか、医療知識があります!は一般企業
病院では電子カルテが使えれば十分でも、企業ではExcelやPowerPointは「使えて当たり前」。看護師の世界でいう、血圧測定くらいの位置づけです。
9. ITパスポート
ITの基礎知識を証明する国家試験です。受験資格はなく、全国の会場でほぼ通年受けられます。
ITパスポートの良いところは、ITの知識だけではなく経営など会社の仕組み全般の基礎知識が学べること。
「ITなんて無理」と思っている人ほど、勉強してみると意外と身近な話が多いことに気づくはずです。
医療系のIT企業を目指すなら、最初の一歩にちょうどいい資格です。
ただ、ノー勉強で行くと普通に落ちます!対策は必須です!
本を買うのでも良いし、eラーニングで勉強するのも良い方法です。



概念的な部分はeラーニングのほうが説明がわかりやすいですが、メモを取ったりするなら本のほうが便利ですね。
オンスク.JPはスマホで講義動画と問題演習ができるeラーニングサービス。
eラーニングの中でもかなりお手頃な値段、かつ月額制です。ITパスポートのほかにも情報セキュリティマネジメントや簿記3級など、いろいろな講座が同じ料金で受け放題。
通勤中や休憩中のスキマ時間で進められるので、シフト勤務の看護師とも相性がいいですよ。
こんな人におすすめ:医療×ITの仕事に興味があるけど、何から始めればいいかわからない人
10. MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
Word・Excel・PowerPointのスキルを証明する資格です。全国の試験会場で随時受けられます。
履歴書に書けるだけでなく、勉強するうちに実際にExcelが使えるようになるので、入社後に困りません。
ただ、資格そのものが生きるというよりは、「パソコンが使えないわけではない」を証明する資格というイメージ。
MOS持ってる=採用!にはならないのでご注意を。
こんな人におすすめ:事務職やカスタマーサクセスなど、デスクワーク中心の仕事を目指す人
11. 医療情報技師
医療とITの両方の知識を証明する、日本医療情報学会の資格です。受験資格はなく、医学・医療、情報処理技術、医療情報システムの3分野から出題されます。
電子カルテのメーカーや病院の情報システム部門では、「現場がわかる人」が本当に貴重です。看護師の臨床経験が、そのまま強みになります。
看護師にとって医学・医療はそこまで難しくありませんが、問題は情報処理。
ある程度時間をかけて対策することが必須です。
最近少しずつ知名度が上がり、公式以外の解説本も出るようになりました。情報処理はとっつきやすくてなんぼなので、こちらはわかりやすくておすすめ。
こんな人におすすめ:病院のシステムや医療DXに関わる仕事がしたい人
看護師から企業に転職したリアルが知りたい人は、こちらの記事もどうぞ。


番外編:12. 学士(看護学)
最後は資格というより「学位」ですが、専門学校卒の看護師にはぜひ知ってほしい選択肢です。
放送大学などで単位をそろえ、大学改革支援・学位授与機構の審査に合格すると「学士(看護学)」が取れます。4年制大学を卒業したのと同じ学位です。
専門看護師やNPを目指すなら大学院への進学が必要になりますし、海外で働くときに学位を求められることもあります。①の資格を考えている人ほど、先に学士を取っておくと選択肢がぐっと広がります。



筆者も働きながら放送大学を経由して、学位授与機構で看護学士を取りました。
本当に大変でしたが、取ってよかったと心から思える学位です。


学費の負担を軽くする「教育訓練給付金」
「取りたいけど、お金が…」という人は、教育訓練給付金を必ずチェックしてください。国が指定した講座なら、受講費用の一部がハローワークから戻ってきます。
- 専門実践教育訓練:受講費用の50%(年間上限40万円)。資格取得などの条件を満たすと最大80%
- 特定一般教育訓練:受講費用の40%(上限20万円)。資格取得などで最大50%
- 一般教育訓練:受講費用の20%(上限10万円)
原則として、雇用保険に3年以上加入していることが条件です。初めて使う場合は、専門実践なら2年以上、それ以外なら1年以上でOKです。
厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で、受けたい講座が対象になっているかを確認します。
自分が条件を満たしているかを確認します。専門実践教育訓練の場合は、受講開始の1か月前までにハローワークでの手続きが必要です。
講座を修了したら、決められた期間内にハローワークで支給申請をします。
このほか、勤務先の奨学金制度や、自治体の資格取得補助が使える場合もあります。就業規則やお住まいの自治体のホームページも、一度のぞいてみる価値ありです。
※ 最新の条件はハローワークインターネットサービス:教育訓練給付制度でご確認ください。
まとめ:資格は「なりたい自分」から逆算しよう
資格選びで一番大事なのは、資格の名前ではなく「何を変えたいか」です。
- 専門性を深めたい → 認定・専門看護師、NP、助産師、ケアマネ、学会の認定資格
- 働き方を変えたい → 保健師、産業カウンセラー、福祉住環境コーディネーター
- 企業で働きたい → ITパスポート、MOS、医療情報技師
- どの道にも効く土台 → 学士(看護学)
「そもそも何を変えたいのかがわからない」という人は、資格を探す前に、これまでのキャリアを棚卸ししてみるのがおすすめです。地図を広げる前に、まず現在地を確認するイメージですね。





